それでも

生きていくのってむずかしい。

鉄と血と

人が作品に狂っていくさまを見られるのがインターネットの最大の娯楽って巷で噂だけど、数年前に急に狂ったジャンルがあるからその話をしたいなと思った。当時のツイートも一緒にお送りするよ。

 

いま私にはいろんな趣味がある。女子アイドル、心が領土の、音の地平線の王国と繋がる地平線。あとはアニメゲーム漫画と基本的にオタクが履修するものは全体的になんとなーく履修してきた。なんとなくだからわからないものも当然ある。

私は、「ガンダム」を履修してこなかったからよく知らなかった。そして履修した今でも「ガンダム」はよくわからない。

私が履修したのは「鉄血のオルフェンズ」。めちゃめちゃおもしろかった。

 

最初は、日5でなんか新しいのやってるなあくらいの印象だった。へー、サンライズかー。サンライズあんまり好きじゃないんだよな…肌にあわないっていうか…って食わず嫌いしてた。理由は何かあったわけじゃないけどそういう傾向があっただけ。そしてTwitterのオタクたちからのタイムライン通信学習で背が高くて褐色銀髪金目とかいうフェチ詰め込んだようなのとなんか小さい黒いのがいるってことは知ってた。褐色銀髪金目最高じゃん。だから流し見してた。

だけど私の「ガンダム」に対する知識、「アムロレイ」「親父にもぶたれたことないのに」「赤いのは3倍」「ハロ」「アニメ雑誌で鎖とかいっぱいついた謎の黒い服着せられてる」くらい。昔、同級生たちが下敷き持ってた。種。種死。ほんとその程度。

そんな私がなぜガンダムにハマったのかというと、単純に主人公陣営にハマった。それだけだった。

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狂ったあとの約2か月の推移。

もうね。まず主人公がかっこよすぎた。キャラクターとしてずるいねあれは。

もう作中のキャラクターで例えるなら「三日月さんかっけー!!」なタカキ・ウノ状態。

日5流し見はしてたけどほんとうに流し見でほとんど見てなくて、鉄血ヤバいぞってタイムラインがザワザワしてきて、よしそんなら見てみるかって7話あたりからちゃんと見はじめて、なんやおもろいやんけ…ってなってたところにちょうど一挙放送がはじまってまんまと1話から見返したら、私の知ってる「ガンダム」はそこにはなかった。私の知ってる「ガンダム」ってなんか軍の若手とかお耽美な人たちがキメッキメのピカピカの機体に乗ってビーム撃ってるやつ。違った。鉄血のオルフェンズは1話から鉄錆と土ぼこりのにおいがした。アニメなのに。においがしたんだよ。鉄錆と土ぼこりと汗と機械用のオイルと血も混じって、お風呂に入るという習慣がないからなんならくさい。社会の最底辺で生きる子どもたちがそこにはいた。お耽美とかそんなものの端くれもなかった。あったけど、主人公陣営にはない。敵側の陣営がなんだか私の知ってる「ガンダム」っぽかった。まじめに見てなかったのを本当に後悔した。アニメや漫画って保存用にも加工できる生鮮食品だと思ってるからリアルタイムで体験できるってものすごく貴重だよ。えっやばいこういう話好き…って傾いた心が12話の昭弘とタカキのピンチにドス持って降ってきた白い機体で完全に心を奪われてしまった。バルバトスがかっこよすぎた。物理でドッカンドッカンかますガンダム」をはじめてかっこいいと思った。1話の、バルバトスに乗った三日月オーガスが土の下から地面をやぶるように出てきて仲間のピンチを救った瞬間、12話で降ってきたバルバトスと対比やんけ!!って叫んだ。オタクだいたい対比とか大好きだから。

ここからの私ははやかった。ブルーレイをすぐ予約し、2ちゃんねるガンダムまとめサイトTwitterの考察を読み漁った。そしてガンプラを見かけた。私が惚れた御神体(私はバルバトスのことを御神体と呼んでいるくらい崇め奉っている)が欲しくなった。

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そこはオタクのネットワーク、石を投げれば該当するオタクに当たるを活かして、ソシャゲで同じギルドにいたプラモデルが趣味のオタクに、ガンプラ作りたいんだけどって相談した。そしたら「ガンプラなら小学校低学年でも作ってるよ」って。まじかよ。さすがだな日本のオタクに古来から担われてきた超大手ジャンル。老若男女に対する福利厚生が充実してる。即買った。Amazonで。即来た。即作った。Twitterで実況しながら。大騒ぎしながら作ったから3時間くらいかかった。もうヤバい。語彙とかなかった。あの、めちゃくちゃかっこいい御神体が私の手の中にある。ヤバい。しかもポーズとってくれる。ヤバい。しかも小さくてかわいい。ヤバい。もうこの時点で一部の方はお分かりだと思うけど現時点までにまだつくってないのもあわせてHGとMGが合計で7個くらいガンプラが家にある。もらいもの含め。ヤバい。はよ作れってな。

 

そんな感じでもう盛大にどハマりした鉄血のオルフェンズ、もう今でも引きずるくらい大好き。インターネット調子乗りマンがよく使う「止まるんじゃねえぞ(絵文字)」とかもう見たら私が三日月オーガスじゃなかったことを幸運に思うんだな…🔫って怒り狂うくらい鉄華団残党過激派。あらゆるSNSでこれで何人もブロックしてきた。ごめんね。私とあなたの信じるものが違っただけなの…って酔狂なせりふだって言える。だってバルバトスは御神体だから。

 

正義の反対は悪じゃない、また別の正義だと思ってるオタクなんだけど、鉄血のオルフェンズはそれを地で行く作品だと私は思ったし、今でもなんでこんなに好きになったのかって考えるんだけど、私が主人公陣営を推さない理由を自分自身で見つけられなかった。

いまの日本社会を生きる私たちや、今までの私が知ってる「ガンダム」から見ると、鉄血のオルフェンズの主人公陣営はおそらく「悪」。少なくとも「善良な一般市民」ではない。だって、家族がいる子も何人かはいるけど、自分の出自を知らない、スラム出身の子どもたちがほとんどで、大人たちを殺して会社を乗っ取るし、すぐ武力でなんとかしようとするし、ヤクザと盃交わしちゃうし。なんてやつらだ。でも、ほぼ全員が10代かそれ以下の子どもたちで、ヒューマンデブリっていう奴隷みたいな身分だった子たちもいる。そんな身寄りのない、戦って勝つことしか生き残るすべを知らない子どもたちはこうしないと生きてこれなかったっていうのが作品を通して伝わってくる。必死に生きようと、生き残ろうと、生を勝ち取ろうともがいてた子どもたちだった。私はスラム出身でも奴隷でもない、大人を殺して会社を乗っ取ってもない、武力行使もしたことない、ヤクザと盃も交わしてないどれにも当てはまらないけど、生きようとしてた子どもたちが尊すぎてだめだった。あとは単純に三日月オーガスの乗ったバルバトスがかっこよすぎた。バルバトスがかっこよすぎて、バルバトスがかっこいいたびに三日月オーガスの白兵戦を見せろって騒いでた。ヤバいよ三日月オーガス

 

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あと、私はこの作品をリトマス試験紙みたいなものだと思った。完全にじゃないけど。その人がいままでどう生きてきたのかがある程度あぶり出されてしまうおそろしい作品だと思う。物語やキャラクターに対する趣味とかもあるから完全にではないけど、この作品を見て感想文を書け、鉄華団ギャラルホルンどちらにつくか、って聞いたとき、その人のいままでの人生やものの感じかたがあらわれてしまいがち。少なくとも私の見てきたオタクたちはそうだった。だから双方のオタク見てるものが一緒なのに反対側から見てるからだいたいわかりあえないしすぐ喧嘩する。あ、マクギリスは別カウントね。

 

この作品のキャッチコピーは「いのちの糧は、戦場にある。」。本当にそうだった。生き抜くためにずっと戦ってきた子どもたち。生きるためには戦うしかなかった子どもたち。さっきあぶりだしって言ったけど、どちらかというとアダルトチルドレンの人たちには鉄華団が刺さって刺さって抜けない作品だと思う。現に刺さったオタクをTwitterで見るとそういう傾向がある。気がする。傾向があるってだけで100%ではない。私調べ。

個人的にアダルトチルドレンの人たちに見てほしいけど体に不調をきたすからあまりおすすめできない作品。マジで一時期「見たら体調が悪くなるアニメ」って有名だった。私は最終的に胃カメラ飲んだ。展開がつらすぎて発熱したとか号泣しすぎて涙が止まらないとか夢見が悪くなるとかしょっちゅう言われてたけどそのくらいのめりこめてしまう作品。本気で見ると体調不良になるかもしれないけど見てほしい。私と一緒に体調を崩そう。私はいまでも友達に「ガンダムの展開がつらすぎて胃カメラ飲んだ女」って呼ばれる。その通りだが何か。

こんなプレゼンにもなってない地獄への招待状みたいな文章で作品を見てくれる人がいるとも思ってないけど、気になったら呼んで。すぐ飛んでいくから。なんならガンプラあげるから一緒に作ろう。

 

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そして私と一緒に鉄華団残党過激派になろう。ギャラルホルン推しになったら教えて。争わずに生きていきたいから。