それでも

生きていくのってむずかしい。

自認なんてはっきりしたものじゃないけど

私が自分のことをアロマンティック・アセクシュアルだと思ったきっかけは、婚活。


昔から家事ができたから、小学生のときも、中学生のときも、高校生のときも、「早く結婚しそう」って言われた。家事ができる、面倒見がいい。それだけの理由で。家事ができるのと面倒見がいいのは当たり前だよね。小さい大人として家事をやらないといけなかったし、まわりの面倒も見ないといけなかった。当時の私にとっての当たり前。


私も、高校生くらいまでは、将来自分が結婚して子どもができたら自分みたいな思いは絶対させないって思ってた。高校生くらいまでは漠然としたものだった。私は『いいお母さん』になるって思ってた。それだけのスキルは持ってる。

同時に、高校生くらいの頃から、「早く結婚しろ」ってまわりの大人から言われはじめた。

自分のまわりの子どもたちのなかで私が一番年上だったから、それも当たり前なんだと思ってた。そんなにみんな早く結婚しろって言うんだー。お父さんとお母さんも25歳?そのくらいで私が生まれてるしそんなもんなんだろうなあ。って思ってた。

実際、まわりの友達も、はやく結婚したいって言ってた。はやく結婚して専業主婦になりたいって。それではやく子どもを産むんだ、って。みんな言ってた。だから私もそれが普通なんだと思ってた。はやく結婚したいかって言われたらわかんなかった。だって今生きるのに精一杯なんだもん。将来のこととか考えらんない。


実を言うと、幼稚園の頃から『将来の夢』を持ったことがない。当時セーラームーン全盛期だったんだけど両親は特に興味がなかったみたいで、私がセーラームーンがいい!あみちゃん!ほたるちゃん!って言ってたのに、よくわからないキューティーハニーを与えられて(当時はセーラームーンの偽物だと思ってた。幼稚園児だもん。わかんなくて当たり前じゃん。)、セーラームーンじゃない!!!って怒ったら、せっかく買ってきたのにわがまま言うんじゃありません!!!って怒られた。私が欲しがるものはあんまり与えられることがなかったと思う。七五三で着物着たくなくて大暴れしたとか聞くと大変だなあと思うけどそんなもんだよね子どもって。今思うとね。被害妄想かもしれないけど。きょうだいには与えられてたのにね。不公平だよね。

そんな感じで欲しがっても手に入らないってことを覚え(多分)、与えられるものを与えられるまま受け入れることを覚えた私が一番初めに躓いたのは、幼稚園の年少組のお絵描き。「大きくなったらなりたいものを書きましょう」。大きくなったら?なりたいもの?なりたいものなんてなかった。これだけはちゃんと覚えてる。なりたいものなんてなかった。当時5歳。みんな、おひめさま!とか、ひこうきのうんてんしゅ!とかケーキやさん!とか言ってた。本当にわからなかった。仲良しのMちゃんがおはなやさんって言ってたから私もおはなやさんって言った。それからしばらく、私のなりたいものはおはなやさんだった。別になりたくなかったけど、なにか答えないといけないって思ってておはなやさんって答えてた。ちゃんと年数まで覚えてないけど、小学校3年生くらいまで言ってたかな?とにかく、しばらく言ってた。Mちゃんと一緒におはなやさんになりたい!!とかでは断じてなく、Mちゃんも言ってるしおはなやさんって言っときゃ無難だろ。って。それからあとは将来の夢、なんて答えてたのか覚えてないなー。本当になりたいものがなかった。だって何回も言うけど、いまを生きるのが精一杯だったから。自分の未来にまで考えをめぐらせる余力がなかった。このままずっと、なんとなく生きていくんだろうなって思ってた。


そんな特に夢を持たないまま月日は流れ、高校生にとっての一大イベントがやってきた。進路。勉強だけはできたからね、中学生までは何も言われなかった。小学校から物覚えだけはよくて、勉強だけはできたから、両親から宿題したかどうか見張られてたりしたから勉強できないわけがないよね。学年で常に10位くらいだった。めちゃくちゃガリ勉ってわけじゃないのに10位くらいだったからだいぶ妬まれたけどね。きょうだいにも10位とか余裕だろwってバカにされたけどあいつが人生で1回も私の順位を抜けなかったの知ってるよ。ざまあみろ。勝手にコンプレックス抱かれてるから何にも言わないけどさ。

そんなかんじで勉強だけはできた私が、またちょっと躓いた。進路。でも昔から、お前は子どもが好きだし勉強ができるから先生になりなさいって言われてた。人の役に立つ仕事をしなさいって言われてた。それもいいなって思ってた。安易に、親もそう言ってるし。って、先生になりますって言った。

勉強して受かって、高校を卒業して、大学に入学した。このころにカウンセリングの先生にアダルトチルドレンって言われた。


そして、まわりの友達はどんどん彼氏ができていった。はやく彼氏つくりなよ!っていっぱい言われた。

彼氏かー、べつに欲しいわけじゃないけど、みんな彼氏いるしなーって思いながら、異性の同級生だったりとメールはしてた。会ったりもしてた。でも、どうしてもだめだった。

次いこ次!って次々いろんな友達からいろんな男の子を紹介してもらった。でも、だいたい紹介って、私のまわりだと付き合えるかどうか品定めする感じだったんだよね。知らない男の子から、下心満載の「今度会おうよ」メールがくるわけ。もうその時点でだめ。メールくそつまんないし。だいたい趣味は車いじりかドライブかカラオケ。

ほんとに偏見なんだけど私、車高短だめなんだよね。紹介される男の子、だいたい車高短。その車のパーツ(名前わかんない)とかダッシュボードの白いふわふわもげろって思ってた。

まあ彼氏いなくても楽しいしいいやって思ってた。入学とほぼ当時に実家を離れて、友達と夜中までわいわいやるの楽しかったし。合コンはつまんなかったけど。ウェイの歌うカラオケってだいたい純恋歌オレンジレンジ。ごめんね偏見ばっかりで。ソースは私。

ほんとうに友達とくだらない話しをしたりするほうが楽しかった。『まだ』私には彼氏は早いのかなって思ってた。彼氏いないとか人生楽しいの?!ってびっくりされたこともある。『いつか』彼氏が欲しくなるときがくるって思ってた。

このころに、ブログかなにかだったと思うんだけど、ノンセクシュアルの概念だけは知った。でもまだ決まったわけじゃないし、『いつか』大人になるでしょ〜w私がまだ子どもなだけwって思ってた。


卒業して社会人になっても、その『いつか』はこなかった。

ちなみにまだ来てない。


覚えてる一番昔の恋愛事情は、4歳くらいのときのバレンタインデー。お母さんがチョコを買ってきて、男の子にあげなさいって言った。当時の私のまわりの男の子って、近所の同級生のTくんしかいなかったから、何にも思わずTくんにあげるものだと思ってた。そしたらきょうだいがチョコを食べちゃったの。私はべつにTくんのこと好きじゃなかったけど、『チョコをあげる前に違う人に食べられた』ことに混乱して号泣した。こたつにひきこもった。4歳だよ。生後1,500日くらい。そりゃ泣くわ。で、泣いてる私を見てお母さんはなんて言ったと思う?

「そんなにTくんのことが好きだったの?知らなかった!」

ハイ解釈違い。解釈違いです。出ました人生における解釈違い。私が覚えてるなかで一番古い解釈違い。べつに私はTくんのこと好きじゃない。


社会人になると、はやく結婚したい友達に誘われて婚活パーティーに行くようになった。でもそんな大学卒業ほやほやです!みたいな娘たちが行っても相手にされなかったし、たまに49歳とかのおじさんに連絡先聞かれてまじでドン引きしてた。ダブルスコアじゃん。


婚活パーティー何回行ったかわかんない。なんで私行ってたんだろう。友達に誘われて興味があったからなんだけど、べつにはやく結婚したかったわけじゃないんだよね。いい人がいればいいな〜程度の気持ちだった。

でもモテるんだよねこれが。誰とでも話ができるから。自分を隠せば誰にでもあわせられるから。コミュ強になりきれるから。なめんなよこちとらアダルトチルドレンじゃ!自分を隠すのなんて得意とかそういう問題じゃないぞ!脊髄反射やぞ!!!

友達にはびっくりされた。私が、ずっと異性に興味ナシってスタンスだったのに急にモテるから。ちゃんとしたらモテるんじゃん!!これからちゃんとしなよ!!ってほめられ?て、『ちゃんと』しなきゃって思った。

黒髪ロングでふんわりシフォンブラウスにフレアスカートはいてナチュラルメイクでおとなしく微笑んでればモテる。ほんとこれ。ただし、その姿しか相手は見てない。


まあ、自分を隠してモテてもまったく意味ないんだけどね。それに気づいたのは婚活パーティー行きはじめて2年くらい経ってから。

最初はさ、猫かぶらなきゃいけないと思ってた。かわいいと思われる自分でいなきゃいけない。女の子らしいと思われる私でいなきゃいけない。でも、それが一番つらかった。よくしらない男の人から婚活パーティーに来てるはやく結婚したい女の子というレッテルを貼られ、幻想の中の女の子の姿を私に重ね合わされる。正直、デートの行き先はどこでもいいんだけど会話がクソつまんない。私が相手のことを好きだという前提ですすめられる会話。いやいやいや。そりゃマッチングしたけど私あなたのこと好きなんて一回も言った覚えないんですけど?マッチングって、あなたに興味あります程度だったんだよね私からしたら。でも男の人って、『好き』って思ったからマッチングしたと思ってるんだよね。一回なんでこんなに言われるんだろうって思って聞いたんだよねマッチング相手に。そしたら、えっ俺のこと好きになったからマッチングしてくれたんじゃないの、って言われた。ハイ解釈違い。

この婚活部分も出会った人ひとりひとりレベルでまた書きたい。

で、実際いい人もいたのかもしれないけど私からしたら夢見がちな奴しかいねえ!ろくな奴がいねえ!なら私だって自分の思うがままにやるぞ!!って開きなおって猫をかぶるのをやめた。一緒に行ってた友達からは最初はやめなよって言われた。何も言わずにうん、うん、そうだねって微笑んで相づち打ってればモテるんだからそれでいいじゃん。いちばん楽だよ。って。

わかってるんだよそんなこと。自分のことなんだから。

ワンチャン狙いをなぎ倒し、上から目線野郎をぶった切り、でもなぜか相変わらずモテて連絡先だけは大量にゲットするし情報収集能力はピカイチ。友達からは「一緒に行くと超役に立つ」って言われる。楽しかったよねある意味。趣味は人間観察ですってくらい婚活パーティー行ってた。


この辺りで気付く。あれ?こんなに婚活パーティー行ってたくさんの人と会ったのに彼氏欲しくないし結婚したくないぞ?子どもも欲しくないぞ??もしかしてノンセクシュアルって私のことじゃない?


そこからは早かったよね。ググってノンセクシュアルアセクシュアルの分類を知り、アロマンティックの概念を知り、Twitterのアカウントを作った。ブラックリングも買った。

そしてブログをやろうと思い立つ。今に至る。

いやー、一気に気が楽になったよね。恋愛に興味ないといけないと思ってたから。べつに興味なくてもいいんだって知った。知ってしまった。私は自由を手に入れた。